コラム

神奈川県立翠嵐高校定時制をなくさないで 【2024年事務所ニュース 新春号】

弁護士 三木 恵美子

 
 2022年9月、神奈川県は、生徒数減少を主たる理由として、県内18校の県立定時制高校の内6校を2026年度から募集停止にすると発表した。その対象校は「適正配置」の観点から決めた結果、翠嵐定時制を対象とした。但し、翠嵐定時制には複数のクラスを編成できる人数が在学しているため、この受け皿として神奈川工業に普通科を新設するという。
 外国につながる生徒たちの支援をしている人たちの中で、衝撃が走った。翠嵐定時制は、少なくとものこの20年間、外国に繋がる生徒たちに対して、必要な日本語教育の場を提供するのみならず、学校に来れなくなる理由となる、親の病気や失業、それによる在留資格の喪失などについてまで、教職員が一体となって対応し、日本語教育指導員や通訳、更には弁護士とのネットワークも構築している。卒業生の中には、両親が帰国した後に生徒だけが日本に残って卒業し大学進学や就職などの進路を切り開いた人が多数いる。
 これは一朝一夕で創れる教育環境ではない。新設校が尽力しても、早々に追いつくことはできない。
 翠嵐定時制の存続のため、ご協力ください。