コラム

30周年に思う          

弁護士  三 木 恵 美 子

 一昨年から、自分が関わってきたNGOやNPOやユニオンが、設立30周年を迎えて記念行事が立て続けに行われるようになった。ところが、昨年はCOVID19の影響で、軒並み中止か延期となったが、果敢にも、おんなのユニオン神奈川は、ライブで30周年を祝った。設立時は、20代後半から40くらいまでの女性たちだった。
 その30年を振り返ると、セクシャルハラスメントを解決するために地方労働委員会の場を用いたり、ドメスティックバイオレンスから逃れるために地方自治体に援助を求めたり、トラフィッキングを止めるために警察や政府に申し入れをしたりした。女性たちを苦しめていた様々な事柄に名前を与えることによって、理解をしてくれる人を拡大していくことができた。
 他方において、働く人の非正規化が劇的に進み、自分と子どもが食べて生き抜くことだけで力を使い果たしてしまう人が増えた。
 担い手がなくては、権利擁護はあり得ない。SNS等を用いた新しいつながり方も模索して、メンバー自身の願いを実現しつつ、他の人のためにも役立つようなネットワーク作りや組織作りが求められていると思う。

【2021年事務所ニュース新春号】