新外交イニシアティブ編「虚像の抑止力」(旬報社、2014年)について
昨年、私が関わっている新外交イニシアティブが編集し、出版した書籍である「虚像の抑止力」(旬報社、2014年)についてご紹介します。
この本は、沖縄に米軍基地が存続し続けている理由として挙げられることが多い「抑止力」について、元防衛官僚、メディア、政治学等様々な専門家が、それぞれの観点から批判的に検証した書籍です。
下記の目次をご覧いただければ、その内容の充実ぶりが窺い知れるかと思います。
●普天間基地問題にどう向き合うか—元防衛官僚の視点から 【柳澤協二】
「名護に行こう」という決断
名護市の危機は日本の民主主義の危機
名護市長選挙と今後の展望
米国のアジア回帰と沖縄海兵隊の抑止力
だれが基地の所在を決めるのか?
●海兵隊沖縄駐留と安全保障神話―沖縄基地問題の解決にむけて 【屋良朝博】
海兵隊は本土から来た
米国の視点
日本の安保神話
海兵隊の実際の役割と機能
夢見るリアリスト
海兵隊撤退への道すじ
まずは「お金」
二枚目のカードは高速輸送船
ファクトにそくして日米同盟の再点検を
●日米の盲目的な主従関係が招く沖縄支配 【半田 滋】
日米安保条約を踏み越えた米軍再編
米軍を守る沖縄の自衛隊
負担増反対の市長を追い落とす防衛省
「日本」を差し出した安倍首相
尖閣のため沖縄を切り捨てる
●抑止力と在沖米海兵隊―その批判的検証 【マイク・モチヅキ】
抑止力の概念とその限界
日本の安全保障専門家による抑止力の応用
安全保障のシナリオと海兵隊の役割
最後に—沖縄基地問題解決の方途
【座談会】沖縄基地問題の分水嶺―抑止力・集団的自衛権・県知事選
(柳澤協二+マイク・モチヅキ+半田 滋+屋良朝博+猿田佐世)
沖縄にいない海兵隊
抑止力論の問題点
平時と有事をわけた日米同盟の運用と抑止力論
海兵隊グアム移転と自衛隊の位置
オーストラリアの新基地の位置づけ
米国のアジア太平洋構想に沖縄問題の解決を組み込む
米国国内の海兵隊削減論と沖縄
海兵隊再編をめぐる二つの動向
集団的自衛権との関係
これから求められる具体的な日米協力
沖縄認識の現状
●豊かな外交チャンネルの構築を目指して―新外交イニシアティブの取り組み 【猿田佐世】
資料 普天間基地移設問題の経過
本書は、Amazonの日米安全保障・米軍基地問題部門で、発売と同時にトップベストセラーとなり、話題を呼びました。
また、ウェブ上のブックレビューも極めて好評で、一般の方から、抑止力があるから安心だと思っていたが、これは単なる思い込みに過ぎないことが様々な専門家の観点から説得的に書かれており、目から鱗が落ちたとの感想もあります。
他にも、福岡県弁護士会、IWJ等のウェブサイト上で、レビューが紹介されています。
・福岡県弁護士会(http://www.fben.jp/bookcolumn/2014/10/post_4115.html)
・IWJ-Independent Web Journal(http://iwj.co.jp/feature/book/archives/734)
・メールマガジン「オルタ」(http://bit.ly/1DBqYQU)
ぜひ、本書をお手にとっていただき、米軍基地に抑止力があるとする議論が根拠をもつものといえるのかどうか、一緒に考えてみませんか。