「高齢社会の消費者トラブル」(日本加除出版)が出版されました。
2013年の日本の総人口は、1億2729万8000人ですが、このうち65歳以上の老年人口は3189万8000人と、人口の4人に1人は高齢者となり、日本はこれまでに経験したことの無い高齢社会を迎えています。しかも、全国の消費生活センターに寄せられる高齢者の被害相談数は高齢人口の増加率を何倍にも上回る割合で増加しています。
ただ、高齢者は被害が深刻である反面、相談する人がおらず孤立しているなどの理由で、消費者センターや弁護士の所に相談に来てくれるのは被害に遭った人のごく一部にとどまってしまっています。専門家としてなんとか解決したくても、そこまでたどり着かない人たちが多くいるのを忸怩たる思いで過ごしてきました。
本来、高齢者の周りには、家族、地域の人、後見人、ケアマネージャー、ヘルパー、民生委員、医師など、様々な人たちがいます。高齢者が、消費者被害に遭わないためもしくは救済されるためには高齢者に身近な人たちが、高齢者とコミュニケーションを取りながら見守っていき、必要に応じて専門家につないでいくということが求められています。
そのような中で、昨年春に、法律関係特に家事関係の出版を得意としている日本加除出版株式会社の方から、高齢者の消費者被害に関する本を出版しないかという話がありました。私の問題意識からも時期を得た話だったので、お引き受けし、編集班を立ち上げて本作りにかかりました。高齢者の消費者トラブルといってもその分野は多岐にわたっているので様々な視点での法律や判例などが関わります。そこで横浜弁護士会の消費者問題対策委員会及び高齢者障害者委員会で委員として活躍している多くの弁護士に声かけをして分担して書いてもらいました。当事務所では、編集を行った芳野の他に、太田伊早子、向川純平、北川沙織各弁護士も著作に参加しています。
その結果、2014年秋にようやく、「高齢社会の消費者トラブル」という本を出版することができました(日本加除出版の本書のサイト/http://www.kajo.co.jp/book/40565000001.html)。この本は、高齢者が遭遇しやすい消費者トラブルを具体的に取り上げ、その解決策を示しており、高齢者の消費者被害に気づき、対処するために役立ててほしいと思っています。