コラム

デジタルプラットフォームにおける消費者被害 【2022年事務所ニュース夏号】

弁護士 有野 優太

 コロナ禍の中、ネット通販にまつわる消費者被害が増加しています。これに対し、2022年5月1日から、取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律(以下、「取引DPF法」といいます。)が施行されましたので、その一部を簡単にご紹介いたします。
 近年、アマゾンなどのオンラインモールやメルカリなどのネットオークション(これらをまとめて、「取引DPF」といいます。)が広く普及しています。取引DPFは非常に便利ですが、ひとたびトラブルが発生した場合、出店している販売業者が表示義務を遵守していないと、そもそも、その業者がどこの誰なのか分からず、手の打ちようがないという深刻な問題がありました。
 このような事態に対処するため、取引DPF法において、消費者は、消費者トラブルから発生した自己の債権(1万円以上のもの。)を行使するために必要な場合には、取引DPFの運営会社に対し、販売業者の名称や住所等の情報の開示を請求できるようになりました(同法5条1項)。
 これにより、販売業者への請求が可能になり、ネット通販被害の救済・予防が進むことが期待されます。