コラム

お金の使い途   【2023年事務所ニュース 夏号】

弁護士 佐藤 正知

 

 本年度の国の予算では、防衛費が、昨年度より1兆4000億円(25%以上)も増額され、6兆8000億円となった。しかも、防衛費を本年度から5年間で43兆円とし、この5年間に契約した装備品購入費のローンがその後も16.5兆円残るという。併せて60兆円!である。これを賄うためとして、防衛財源確保法なるものが成立したが、謳われている歳出改革や国有財産の売却等について具体的にどうするのか全く不透明である。国は火消しに躍起だが、バイデン米国大統領が説得したのだとか。これが独立国か。

 本年度税制改正の大綱では、「防衛力強化に係る財源確保のための税制措置」として来年以降の「適切な時期」から、法人税額に対し4~4.5%の付加税、所得税額に対し税率1%の付加税を課し、たばこ税1本当たり3円を引き上げるとしている。この増税について、「骨太の方針」では、2025年以降にすることも可能となるように柔軟に判断するとされ、あからさまに次の総選挙前の増税を避けようという姑息な態度が見て取れる。

 ちなみに、「異次元の少子化対策」に対しては、これから6~7年がラストチャンスであるとして今後3年間の集中的な取組への支出が3兆円だそうな。確かに防衛費に比べ「異次元」の少なさ!
 地域の緊張は緩和に向けた外交努力の余地があるのに対し、少子化は一刻の猶予もないのではないのか。お金の使い途が解せぬ。