活動

労働委員会を利用しよう

 労働委員会は、労働組合法によって国(中労委)と各都道府県(たとえば神奈川県労委)に設けられた労使紛争を解決するための専門的な行政機関(いわゆる行政委員会)です。
 労働委員会には、労働争議のあっせん・調停・仲裁などを行う「調整」機能と不当労働行為の審査・救済を行う「審査」機能があります。「調整」段階では労働組合だけで申立てすることもありますが、不当労働行為の救済を求める申し立てをするとなると、代理人として弁護士が関与することが多くなります。
 紛争解決にかかる時間の問題からすると、神奈川県労働委員会では救済命令まで約1年6か月くらいを目途としています。また、紛争解決の内容的としては、裁判所は過去の事件に対する事後的な救済が中心であるのに対し、労働委員会では過去の不当労働行為の救済だけでなく、将来的な労使関係の構築も視野に入れての解決がなされるという違いがあります。
 なお、もともとは労働組合に入っていなかったり労働者が解雇などの事件をきっかけに個人加入できる合同労組・地域ユニオンなどに入り、事件解決を求めて労働委員会を利用することが増えてきて、その対応が課題とされてきました。神奈川県労委でも労働委員会を利用する合同労組・地域ユニオンの比重が高まっていることもあり、労働委員会の活用やあり方をめぐる議論がされています。
 思えば、労働紛争においては、もともと労使の力関係に大きな差があるのですから、労働者は一人で闘うより、団結して闘うことが憲法上も想定されています。弁護士としても実際の事件を解決していく過程で、組合の仲間の協力や支援を受けながらやった方がいい結果になることが多いですし、買った時にはみんなで喜ぶことができ楽しいものです。労働審判も早くていいですが、職場に戻り、職場をよくしていく、という闘いをするなら、やはり個人加入できる合同労組・地域ユニオンに入り、そして仲間をつくって労働委員会を利用していくのも1つの闘い方だと思います。ぜひ、いっしょに頑張りましょう。