事例紹介

不動産の次々販売被害の事例

30年以上前に購入した那須の別荘地の処分に困っていたところ、知らない不動産業者から電話があり、ご自分の土地を業者が買取る代わりに、業者の土地を購入して欲しい、その土地はすでに買い手が付いているので利益があがってすぐに処分ができると勧誘されました。不動産仲介の資格もある不動産業者だったので信頼してしまい、言われるままに、自分の土地を売却して、業者の土地を購入し、その手続きの為の高額の費用を支払ってしまいました。その後、不動産業者は言を左右にして購入した土地を売却してくれず、さらに別の土地を買うように持ちかけてくる始末でした。後で調べたところ取得した土地も価値も無く買い手が付かないような物件でした。固定資産税の負担や管理費が重なるような負の遺産を子ども達に残したくないということで相談に来られました。
不動産ならぬ負動産が社会問題となっています。売るに売れない状態で管理費だけがかかる不動産の所有者に買い取れるともちかけて、さらに手数料などを払わせたり、さらに出捐させて新たな土地と交換したり買わせたりする商法が問題となっています。
本件では、すでに不動産業者は、連絡も取れず行方不明になってしまっていることから、支払った手数料を回収することは困難な事案でした。ただ、相談者は、業者に騙されて新たに自分名義になってしまった不動産をこのまま持ち続けて孫子の世代に迷惑を掛けたくないという気持ちがありました。
そこで、裁判所に不動産移転登記の抹消を求めて訴訟を提起しました。すなわち、すでに買い手が付いていて売却できるとの虚偽の事実を告知されこれを信じて新たな売買契約を結んでしまったということが、消費者契約法の不実の告知に該当し、契約の取消し事由に当たると構成して、契約が取り消された以上契約に基づいて、相談者に移転された登記は抹消すべきであるとしたのです。その結果、土地の売買契約を取り消しを理由に、相談者の名義になってしまった土地の所有権移転登記を抹消し、登記上の名義を業者に戻させることが出来ました。

  • それぞれの事例は、事案特定を避けるため、実際の事例を一部抽象化、加工しております。