事例紹介

建物明渡請求の事例1

ホテルチェーンを展開する依頼会社は,ホテルを経営するため,共同住宅として使用されているビルを購入しました。このビルの売主である前所有者は,全住戸を一括して転貸しするサブリース業者との間で,定期建物賃貸借契約を締結していました。借地借家法で保護され正当事由がない限り更新を拒絶することができない通常の賃貸借と異なり,定期建物賃貸借契約では,賃貸人が再契約に応じない限り,建物を明け渡さなければなりません。このため,前所有者は,サブリース業者に支払ってもらう賃料も安くしていました。依頼会社も,定期建物賃貸借契約期間が満了すれば,サブリース業者からビルの明渡を受けられると信じてビルを購入しました。
ところが,定期建物賃貸借契約期間満了が近づくと,サブリース業者は,最高裁判所の判例にしたがって,契約締結に先だって,契約書とは別に,契約の更新がなく期間の満了により建物の賃貸借が終了することを説明する文書が交付されていなかったことを主張して,定期建物賃貸借としての効力を否定し,明渡しを拒否してきました。
そこで,依頼会社は,賃料増額請求をするとともに,通常の賃貸借契約であるとしても自己使用の必要性があり正当事由があると主張して,建物明渡請求訴訟を提起しました。
訴訟の中で,適正な賃料と適正な立退料について鑑定を行った結果,サブリース業者の負担する賃料が相当低額であることが裏付けられました。
そこで,適正な立退料額から,賃料増額請求以降の適正賃料と実際の低額な賃料との差額分等を減額した額の立退料と引き換えに,建物を明け渡してもらうことで,和解が成立しました。

  • それぞれの事例は、事案特定を避けるため、実際の事例を一部抽象化、加工しております。