コラム

第20回『刑事事件の流れと弁護士の活動』

みなさんは、家族や知り合いが警察に逮捕された場合、大きな衝撃を受けるでしょう。当のご本人は、突然始まった不自由な留置場生活の中で、これからの手続きはどのように進むのか、仕事や学校はどうなるのか、前科がついてしまうのかなど、大きな不安に襲われているはずです。ご本人は、助けを欲しています。

ここでご本人の強い味方となるのが弁護士です。弁護士がなるべく早期にご本人と面会を行うことは、短期間で迅速かつ的確に動くことが求められる刑事事件において、非常に重要です。また、弁護士であれば、平日の日中・15分以内・警察官立会などの一般面会の制約や、接見禁止決定に縛られず面会を行うことができる点も、弁護士を依頼する大きなメリットです。

長い歴史のある当事務所は、刑事事件分野において、多くの経験と知識を蓄積しています。

刑事事件の流れと弁護士の活動

逮捕・勾留

罪を犯したと疑うだけの相当な理由があるなど一定の要件がある場合、逮捕・勾留が行われます(このような人を「被疑者」といいます)。最大で23日間、警察署などで身体拘束が行われます。
ご家族であっても、身柄を拘束されている被疑者と会おうとするときは一般面会とされ、時間制限や警察官の立会など、多くの制約が課されます。また、裁判所から接見禁止命令が出されてしまった場合は、一切の面会ができません。
しかし、弁護士(依頼を受けた弁護士を「弁護人」と言います)であれば、これらの制約を受けずに面会を行うことができます。弁護人以外の者とも面会ができるよう、接見禁止命令を解除すべく動くこともできます。
弁護士は、被疑者に会いに行って事情を聞くと共に、これからの流れを説明します。
捜査機関の言い分と食い違う場合は、言っていないことが調書にされないように具体的にアドバイスをしたり、時には捜査機関に抗議したりします。関係者に話を聞いたりして無罪の証拠を集めたりします。
捜査機関の言い分と同じ場合には、被害者がいる場合は謝罪・示談を働きかけたりするなどして被疑者に有利な証拠を集めたりして、被疑者が早期に社会に復帰できるよう活動し、起訴するかどうかを決める検察官に働きかけます。

起訴・不起訴(起訴猶予)

検察官は、最終的に、刑事裁判を求めるかどうか決めます。刑事裁判を求める場合を起訴と言います。罪を犯したと認められる場合でも、刑事裁判を求めない場合や(これを「不起訴処分(起訴猶予)」といいます)、公開の法廷で裁かれることなく罰金を支払って釈放されることもあります。
弁護人は、検察官が最終的な方針を決めるまで、検察官に対して、不起訴等の被疑者にとって利益のある処分を選ぶように働きかけます。
なお、起訴された後は保釈を請求することもできます。

公判

起訴された場合(起訴された人を「被告人」といいます)、刑事裁判において、被告人が罪を犯したかどうか、罪を犯した場合はどれくらいの刑罰を与えるかが決められます。
弁護人は、被告人と検察官の言い分が食い違う場合は、被告人の言い分が正しいことを裏付ける証拠を集めたり、関係者に尋問したりして、被告人の言い分が正しいことを主張していきます。全面的に争う場合は、無罪判決を獲得するために活動していきます。被告人が罪を犯したと認めている場合でも、被害者に謝罪・示談を働きかけたり、被告人の身元を引き受けてくれる人に尋問して、再び犯罪をしないことを明らかにして、早期に被告人が社会復帰できるように活動していきます。

判決

審理が全部終了すると、裁判所は、被告人が罪を犯したかどうか、罪を犯した場合はどれくらいの刑罰を与えるか判断します。
弁護人は、被告人に対し、判決の説明を行い、控訴するかしないかの意思確認を行います。被告人が、控訴し、引き続き弁護人に依頼するという場合は、引き続き弁護人は、被告人のために活動していきます。

このように、弁護士は、被疑者・被告人のために、逮捕段階から判決に至るまで、様々な活動をしていきます。また、その都度、被疑者・被告人だけでなく、ご家族などにも必要な説明をしていきます。お困りのことがありましたら、是非ご相談ください。