コラム

第22回『消費者問題とは?』

報道では、日々様々な消費者問題が取り上げられています。そこでいう「消費者」とは誰を指すのでしょうか?「消費者」とは、「個人(事業として又は事業のために契約の当事者となる場合におけるものを除く。)をいう」と消費者契約法2条は規定しています。要するに人間である限りすべて「消費者」なのです。消費者問題は、人間である限り抱えてしまう危険性がある問題なのです。

消費者問題がなぜ起きるのでしょうか?それは、社会の複雑化高度化の結果、商品を提供する業者側と個人たる消費者の間に、情報力の格差や交渉力の格差という力関係の差異が生じてしまうことによります。すなわち、消費者は構造的に劣位におかれ不利益を受けている立場におかれているわけで、その格差を踏まえて、劣位にある消費者を保護する必要が生じてきました。

力関係の違いから、消費者が受ける被害は、様々ですが、社会の複雑化、取引態様の多種多様化により、消費者被害の内容・形態も多種多様になっていますが、概ね次のような被害が生じています。

  1. 金融商品取引(利殖商法、先物・銀行・保険・証券取引等)による問題
  2. 欠陥商品・欠陥住宅に関する問題
  3. 訪問販売・通信販売・電話勧誘販売
  4. 学習塾やエステなどの継続的契約、マルチ商法、内職商法等の問題
  5. クレジットやリース問題
  6. 宗教関連(霊感商法等)の被害
  7. 情報化社会の進展(ネットやサイトの取引等)に伴う問題
  8. 多重債務(自己破産、債務整理、悪質取立、保証の問題等)

業者と消費者との力関係の差により、消費者は騙されていることに気づかないうちに契約書などの書面にサインをさせてしまうことが多く見られます。しかし、書面をとられただけで戦う途がすべて閉ざされてしまうとは限りません。消費者救済の為の法律には、立証責任を軽減したり、消費者保護の為の特別な救済方法が定められているものもありますので、まずはその適用を考えてみる必要があります。

消費者法の分野には、様々な形態の消費者被害を救済するために、消費者契約法、割賦販売法、特定商取引法、製造物責任法、金融商品取引法、同販売法等の様々な法律があります。まずは専門家に相談することが非常に大切です。例えば、これらの法律を使い、クーリングオフの書面を業者に送ることによって、無条件で契約を解除することが出来る場合もありますし、勧誘の状況等によっては契約自体を取り消すこともできるので、一旦契約が結ばされてしまったことであきらめる必要はありません。

しかし、法律は、日々変遷して生じる消費者被害をすべて予想して作られているわけではありませんので、被害をそのまま救済できる消費者保護を行う法律が無い場合もあります。このような新しい消費者被害には、民法等の一般法を駆使して、新しい判例を作っていく中で救済が図れる場合もあります。

私たちは、消費者被害を扱う弁護士として、消費者の被害実態一つ一つに耳を傾け、その実態を踏まえて、いかなる救済措置があるかを全力で考えていきます。

被害に遭った方は、まずはあきらめず相談をしてください。救済の為の途を一緒に探りましょう。