コラム

ナンガパルパット

弁護士 井上  啓

 2度目のパキスタン。昨年9月。移転新設されたイスラマバード国際空港を出てラワルピンディのホテルに泊まる。翌日の早朝チラースにマイクロバスで向かう。カラコルムハイウエイに通じる高速道路も新たに開通しており、この国は発展している。途中のバブサール峠の最高地点でバスを降りて休憩したが、なんか寒くて息苦しかった。あとで地図を確認したらなんと標高4663m(諸説あり実際は4125mか)。人生初の4000m越えであった。チラースの先、ライコット橋からはジープに乗り換え、世界三大悪路を行く。斜面の遙か下に渓谷が見える、切り立った細い道をぐらんぐらんと登っていくが、生きた心地がせず、同乗の松本教授(室蘭工業大学)はアラーの神に命乞いをしていた。1時間ほどで後は3時間ほど歩いて登り(女性陣はロバ)標高3300mの宿泊地フェアリーメドウに到着する。ここまで登るとナンガパルパット8125mの北面が目の前に広がる。小さな池に映る山の姿も綺麗。北面が朝な夕なに燃えるように輝く天上の楽園。翌日、トレッキングで3500m地点まで登ったが、南面裏側の下界では、カシミール問題が再燃していた。