コラム

神奈川県庁職員過労自死事件

弁護士 藤塚 雄大

 神奈川県庁職員の自死事件で、県を被告として損害賠償請求訴訟を提訴しました。お亡くなりになった方は、生前県庁知事室や財政課に在籍。
知事室では知事の発案をきっかけとするプロジェクト業務やイベント開催、動画撮影等に奔走。その後異動した財政課は県庁でも激務で恐れられる部署で、多いときにはひと月200時間を超える時間外労働に従事していました。
心身ともに追い詰められ、自身の誕生日翌日に、県庁近くの観光名所で自死に至りました。すでに公務災害認定は下りています。
提訴記者会見は、本件の舞台である県庁会見場にて行いました。会見日は本人の誕生日かつ命日前日に設定。
提訴後はご遺族と近くの自死現場を訪れ、手を合わせました。
過労死・過労自死を招く労働環境改善を呼びかけていたはずの県の、その長である知事のすぐそばで起きた事件です。
知事側近からのパワハラがあったという証言もあります。
各紙で報道され、神奈川新聞は一面トップ、テレビ局の取材もあり、日テレのスッキリでも約20分間の特集が組まれました。
明るみに出てこなかったこの件、提訴を機に広く皆様に知っていただき、労働環境改善のひとつのきっかけになればと、ご遺族とともに願っています。