B型肝炎訴訟最高裁判決が出ました!
弁護士 藤塚 雄大
今年の4月26日、当事務所の多くの弁護士が名を連ねる全国B型肝炎訴訟弁護団が、最高裁で逆転勝訴判決を獲得しました。
全国B型肝炎訴訟弁護団は、約10年前に裁判を通じ、国の集団予防接種でB型肝炎にり患した患者さんへの現在の給付金制度を創設した弁護団です。
この弁護団では、何も制度がなかったところから給付金制度を創設した後も、救済範囲を拡大すべく、訴訟提起はもちろんのこと、原告団とともに裁判外の様々な活動を行ってきました。
今回の裁判で争われたのは、慢性肝炎で提訴した患者さんの肝炎が再発か否かに拘わりなく、最初の肝炎発症時点を起算点として20年(「除斥」といいます。)が経過していれば一律に支給額の減額をしていた国の取り扱いの妥当性です。
この国の扱いでは、再発が判明し訴訟を起こした患者さんのうち初発時から20年が経過している方が、満額の和解金(給付金)を受け取ることができないということになってしまいます。
この点最高裁は、慢性肝炎が必ずしも再発するわけではないことや再発のメカニズムが解明されていないこと等から、初発時に再発を想定して損害を請求することは不可能であることなどを理由として、減額となる20年の除斥期間計算の起算点を、再発時とする判断を下しました。
判決には補足意見という裁判官の意見が付されており、その中で国に対して直ちにこれまでの運用を改め、救済範囲を拡大するよう求めています。
弁護団として、この最高裁判決は、これまで給付金の満額支給を受けられなかった類型の患者さんを救済する制度改正につながる、大変画期的な判決だと評価しています。
さて、推定患者数からすると、いまだ給付金制度についてご自身が対象であると気づいていない方々が多くいらっしゃるものと考えられています。
我々全国B型肝炎訴訟神奈川弁護団も、行政や医療機関、薬局と協力しながら、患者さんへの給付金制度周知に努めています。
また、患者さんにB型肝炎の基礎知識や最新の治療情報をお伝えする医療講演会、患者同士の交流会、ご自身が給付金を受け取れるかどうかの相談会を定期的に開催しております。最新の情報は、当事務所ホームページのリンクをクリックしていただくか、インターネットで「全国B型肝炎訴訟神奈川弁護団」と検索してくださいますよう、お願いいたします。
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