コラム

隣から越境してきた木の枝は自分で切っていいですか?  【2022年事務所ニュース新春号】

 弁護士 向川 純平

 デジタル化が進み権利義務関係がますます複雑になる今日でも、民法の「権利」の基本でありかつ馴染みの深いのは「土地の所有権」だろう。境界、水道管等のインフラ、騒音、日照、通行、擁壁……などなど「自分の土地と隣の土地の権利関係はどうなっているのか」という相隣関係の法律相談はコンスタントにやってくる。
 さて、タイトルの質問に回答すると、従来は「勝手に切ったらダメ!」だったのだが、2021年5月の民法改正法成立により「例外的に、隣地の人に切って欲しいと催告しても全く切ってくれない、とか、手を尽くしても隣の人の行方がわからない、とか、切らないと極めて危険な状況にある、という場合には自分で切れる場合があります」という答えに変わりそうである(※ただし、施行日は未定なので注意)。
 民法は、近年大改正が続いており、自分もその度に勉強を深めなければならないと自戒する。また、相隣関係は奥が深く、法律の解釈だけでなく、紛争の根幹に感情的なもの、歴史的なものがあり、当事者間で解決させることが大変なものもある。遠慮なく当事務所にご相談を。