コラム

ケーキカット 【2025年事務所ニュース 新春号】

弁護士 小島周一

 あれは長男が小学校低学年、次男が幼稚園くらいの頃だったか。お菓子をもらう時、必ずと言って良いほど「僕の方が少ない」と、兄弟で喧嘩になっていた。ある日、もらい物のケーキが一つ、これを切って二人に食べさせるのだが、どう切っても喧嘩になるのは目に見えていた。しばらく考えて、二人に「拓(兄)が切れ、切ったケーキの好きな方を翔(弟)が取れ」と伝えた。
 ケーキを完璧に半分に切ろうとする長男の、あの時ほど真剣な表情は他になかった。切ったケーキを選ぶときの次男の真剣な眼差しも同じだった。
 弁護士になった後、ある遺産分割調停事件で、ほぼ唯一の遺産である土地を分筆して2人の相続人で分けるところまでは話がついたが、どう分けてどう取得するかで揉めそうになった。長方形の土地の短い辺が道路に接しており、奥の土地まで道路からの通路を確保して分筆するときの、道路側の土地と奥の土地の面積をどうするか、道路に近い土地、奥の土地の評価が難しかった。
 このとき、あのときのケーキカットを思い出した。「一方が分筆し、他方が好きな方を取得することでどうでしょう。」双方納得して無事調停が成立した。