事例紹介

成年後見・遺言・死後委任事務の事例

一人暮らしの高齢者から相談を受けました。相談者の配偶者はすでに亡くなり、二人には子どもがいませんでした。相談者の血縁としては甥が遠方に住んでいましたが疎遠です。自分の老後のことが心配であると同時に自分が死んだ後の財産はどこか役に立つことに使って欲しいという相談内容でした。
そこで、ご相談者が将来認知症などになった場合に供えて、顔見知で信頼関係がある弁護士が後見人に就任することをあらかじめ合意した任意後見契約を締結しました。併せて、亡くなった場合の葬儀や埋葬などに関してはご自身の希望を反映して委任弁護士が行う死後委任事務契約を締結し、遺産については遺言書を作成しました。
遺言書では、本人は自分が残した財産を世の中の為に役立てたいそのために公的な機関への寄付を望んでおられたので、ご本人とどのような役に立てて欲しいのかのお気持ちを良く聞き取り、いくつかの公的機関をリストアップしその中から選んだ先に寄付をしようということになりました。その結果、本人の遺産の中から、自分の葬儀代や病院や施設などの費用を支払い、残った財産はすべて寄付すること、これらの実施を弁護士が遺言執行者として履行するという内容で公正証書遺言を作成しました。
本件では、幸いご本人は認知症になることは無く後見は発動しないで亡くなられましたが、葬儀や埋葬をご本人の意向に沿って執り行い、遺言執行者に就任して遺産は葬儀費用や指定された支払を行った上、残りは公的な機関への寄付をして故人の遺志を実現させました。

  • それぞれの事例は、事案特定を避けるため、実際の事例を一部抽象化、加工しております。