事例紹介

過労死が疑われる事案で、労基署段階では労災が認められなかったものの、行政不服審査段階で逆転認定!

会社の業務後、夫が会社の社屋内で死亡しているのが発見されたという事案です。
会社は夫の死亡直後から、責任を全面的に否定し、労災手続を利用することに何ら協力をしませんでした。会社は一部の証拠を遺族から隠し、開示にも応じませんでした。そのため、ご遺族が別の弁護士に依頼して行った労災申請では、ほとんど残業の実態が認められず、残念ながら労災としては認められませんでした。
労基署から残念な結果が出た直後に、ご遺族からご相談を受けました。会社は多くの証拠を隠しているものの、手元にあるかなり大量の証拠を分析するだけでも、過酷な労働の実態が立証できることが分かりました。
そこで、段ボールに目いっぱい詰め込まれた証拠を一から徹底的に分析したり、同僚の方たちに聞き取り調査を行うことで、夫の生前の業務実態をリアルに浮かび上がらせることに努めました。
その努力が実り、行政不服審査段階で、逆転労災認定を得ることができました。
いったん出された労災の不支給決定が、行政の不服審査段階で覆ることは全国的にも極めて珍しく、労災事件を多く取り扱っている筆者にとっても得難い経験でした。
仮に行政不服審査段階で認められなかった場合には、国を相手取った行政訴訟を闘わなければならないところであったため、大変良かったと思います。
なお、本件は、逆転認定後、会社との間でも無事和解が成立しました。

  • それぞれの事例は、事案特定を避けるため、実際の事例を一部抽象化、加工しております。