事例紹介

試用期間満了本採用拒否の事例

長年にわたり製造業で勤務してきたAさん、その経験をかわれて外資系の広告宣伝会社B社からヘッドハンティングされました。ところが自分のチームの上司が仕事を与えてくれません。おかしいなと思っていましたが、年下のメンバーにアドバイスしたり自分なりに広告資材を作成したりしていました。すると6ヶ月の試用期間が近づいた頃、コロナ感染拡大の中、自宅でオンライン勤務していましたが、上司から「勤務意欲が低い、もともとそれまでの製造業での専門知識を生かしてチームリーダーとして採用したにもかかわらずパフォーマンスが悪いので、試用期間満了で本採用はできない」と言われてしまいました。
Aさんは、年齢も高く、新たな会社を探すのも大変なので、なんとかしてB社で働きたいということになり、労働審判ではなく本裁判をすることにしました。Aさんは自分のしてきた仕事の成果も保存してあり、部下へのアドバイスや同僚とのメールのやりとりも手元に残っていました。さらに本採用拒否された際の画像音声もズーム録画していました。そこでは、上司はAさんの能力を認めていながら、実際にはその能力を生かす仕事を会社側が与えていない「ミスマッチ」であったと言っていました。
先の上司とのやりとりを反訳し成果物なども全て書証として裁判を提起しました。すると、第1回弁論期日においてB社側の代理人弁護士は「請求を認諾する」との書面を提出し、こちらの主張を認めたため裁判は第1回で終了となりました。その後、Aさんは、B社の社長と面談して、能力にふさわしい部署につけてもらい、生き生きと働いています。
普通、労働事件で裁判をすると時間がかかるものですが、きちんと有利な証拠が残されているケースでは、本件のように短期間で「復職」できる場合もあります。

  • それぞれの事例は、事案特定を避けるため、実際の事例を一部抽象化、加工しております。