コラム

第11回『「規制緩和」の正体』

 労働者派遣法は、一般の派遣労働者について、同一業務で原則1年間、最長3年間以上受け入れてはならないという派遣期間制限を定めており、2012年の改正により、派遣期間制限違反等の違法派遣の場合には派遣先が派遣労働者に対して労働契約を申し込んだとみなすこととされました。つまり、違法派遣の場合に派遣労働者が望めば、派遣先の従業員になれるということです。

 ところが、政府は、財界の「規制緩和」の要求を受け、派遣期間制限を骨抜きにして、永久に労働者を派遣のまま使用し続けられるようにしようとしています。これでは、一旦派遣労働に従事すると、生涯不安定な派遣労働のままとなりかねません。

 昨年11月、過労死等防止対策推進法が施行され、過労死等防止対策の効果的な推進が、国の責務とされました。それにもかかわらず、これに逆行するように、財界の要求を受け、政府は、原則として1日8時間、1週40時間以上働かせてはならないという労働基準法の労働時間「規制」を緩和しようとしています。

 「規制緩和」と言うと、聞こえは良いですが、現在緩和しようとしている「規制」は、働く人の命と健康を守っている「権利」なのです。皆さん、これでよいのですか?